標石よりも探す過程がメインの三角点探訪ブログ。
2017/05/20(土)
岩手県北上市の明神岳の南南東700m付近のピーク上(注)にある方位標(子午線標として使用)。
※この記事は舘沢省吾氏からの情報を参考にしています。
注:地図によっては方位標(三角点)があるピークを明神岳としているのもあります。

先日、岩手の花巻にある一等“雷神峠”のそばにある方位標を見てきた。
この方位標は以前、岩沼の竹駒神社で見た方位標とは用途が異なり、天文測量を行うための巨大なコンクリート製天測台が全国に設置される以前に設置された天測点だった。天測点には必ず真北か真南のどちらかに子午線標が設けられ、そこに灯火機器を設置し、暗くなってからその明かりの方向へ測量機器を向けることにより、天測台上の機器を正確な方角へ設置する事が出来た。つまり天測点と子午線標は必ず対であるものなのだ。

方位標が天測点だった場合、子午線標はどうなるのか。先日の“雷神峠”そばの方位標を探すきっかけとなった、種市昇二郎氏のWebページ「青森県の山とはぐれ山男のページ」の記事によると、天測点の役割をする方位標には子午線標の役割をする方位標がもう一つ存在するのだという。但し設置されてから年月が経っているため、今でも残っているのかというと必ずしもそうでないようだ。岩手でもう一ヵ所天測点の方位標が確認されている一等“高堂山”については、その対となる子午線標の方位標が種市氏によって発見されたようだが、“雷神峠”については情報がない。なので不明か亡失なのだろうと思っていた。

GW後のある日、舘沢氏より“雷神峠”の方位標にも対になる方位標が真南7km付近にある三等三角点“西山峠”の近くにあるとの情報をいただいた。雷神峠のにも子午線標に相当する方位標があったなんて!こりゃまた北上へ行くしかないじゃん!
(舘沢さん、情報ありがとうございました)

ちなみに一等の“雷神峠”と今回向かう三等の“西山峠”は、いずれも明治時代の選点です。方位標は戦後に設置されたはずなのに、ちょうどうまい具合に見通し距離でほぼ同じ経度に並んでいたなんて、偶然にしては凄いような気がします。

nishiyamatouge_h1.jpg
そんなわけで、あれから約半月後、また北上にやってきました。
前回同様、東北道北上江釣子ICからR107を東へ向かう。ICから東へ約8.5km、前回R456へ左折した交差点の手前2.5km付近の画像の交差点を岩手県道287へ右折。【現在地

nishiyamatouge_h2.jpg
点の記では交差点から1.2km付近より林道に入ることになっていたが、Googleマップで事前調査したところ、2.5km進んだ辺りから入る林道のほうが航空写真で見た場合、道がハッキリしていて無難そうなため、そちらから登って行くことにした。当然、車で行けるところまで乗っていくつもりなので今回は友人K君所有の軽四駆車の出番である。
画像の自販機コーナーがあるところを左折する。【現在地

nishiyamatouge_h3.jpg
林道は入ってすぐの辺りで一旦草ボーボーになるが、そこを突っ切ると画像のような快適な道になった。Googleマップでハッキリクッキリ見えた直線の区間だ。【現在地

nishiyamatouge_h4.jpg
林道入口より約900m、地形図上で1つ目のヘアピンカーブ手前が広場になっている。しかもその先には道が無いように見える。ここで行き止まりか?【現在地
地形図ではここで右へカーブしてるから単に見えないだけなのかな?

nishiyamatouge_h5.jpg
車から降りてカーブの先を確認すると、画像のような感じになっていて先へ進めない。【現在地
行く手を阻む木の枝は細いのでチェーンソーがあればすぐに撤去出来そうなのだが、あいにく自宅に置いてきてしまった。 ←持ってるんかい!
ここは素直に手前の広場に車を駐めて徒歩で進むしか無い。まぁここまで車で来られただけ良かったと思った方が良いかな。

nishiyamatouge_h6.jpg
林道は地形図に描かれているよりも、さらに先へ続いているようだ。
先週末から降り続いた雨のせいか、路面はフキの葉でいっぱいになっている。【現在地

nishiyamatouge_h7.jpg
うわっ!また倒木かよ。【現在地
どうやって先へ進めば良いんだ?…と一瞬思ったが、近づいてよく見ると法面側に何とか通れるすき間があった。

nishiyamatouge_h8.jpg
2つ目の倒木のすぐ先は広場だった。【現在地
ここが本来の林道終点だったようだ。さて、ここからどっちへ進めば良いんだろう?

nishiyamatouge_h9.jpg
広場の奥の先に、いかにもな目印がある。ここから登って行けということか?【現在地
いや、どう見ても道なんて無いぞ。でも辺りを見回してもそれらしい踏み跡など無いし、とりあえず谷沿いに登ってみるか。

nishiyamatouge_h10.jpg
登れば登るほど傾斜がきつくなってくるような気がする。【現在地
林道の途中から緩やかな斜面を登ってくれば良かったかな…。

nishiyamatouge_h11.jpg
何とか尾根にたどり着いたぞ。【現在地

nishiyamatouge_h12.jpg
境界杭沿いに尾根を登る。そろそろ山頂かな?【現在地

nishiyamatouge_h13.jpg
GPSを見ると山頂はここからもっと東のようだ。【現在地
笹藪突入か…やだな…。

nishiyamatouge_h14.jpg
幸い笹藪は丈が低く、すぐ終わった。
さらに尾根を少し登ると…あれ?まさか?ちょっと出番が早くないですか?【現在地
方位標が先に見つかっちゃうとブログの記事を作成する際に、その次の三角点の記事との画像枚数のバランスが悪くなっちゃうんですけど!! ←探索しながらも一応記事したときのことを考えながら行動してる
こんな目立つところにあったら、「まずは三角点から~」とかいう記事に出来ないでしょうが!つうか、三角点はどこだよ!?

nishiyamatouge_h.jpg
仕方ないので方位標から…。もう記事がどうなっても知らん。
標石の周りを綺麗にして、前回と同様に文字をマッキーでなぞる。うん、美しい!

標石です!(もうヤケクソ)

nishiyamatouge_h15.jpg
南面「方位標」

nishiyamatouge_h16.jpg
東面「基本」

nishiyamatouge_h17.jpg
北面「No. 18」
雷神峠のはNo.17でしたから連番になっているようです。
ちなみにコンクリ製の天測台と子午線標は対で同じ番号が付くようです。

nishiyamatouge_h18.jpg
西面「地理調」
よく考えてみれば、この地理調って表記もレアなんだよなぁ。

nishiyamatouge_h19.jpg
上面です。
大きさは四等標石と同じです。

nishiyamatouge_h20.jpg
天測点がある雷神峠のほう(真北)を見るとこんな感じ。
当時は遠くまで見通せたんでしょうね。


舘沢省吾氏より、この方位標の点名は“明神岳”であると教えて頂きました。この方位標にもちゃんと点の記があり、点名が「明神岳」、冠字選点番号が「佼18」、選点・埋石・観測日が昭和26年11月15日、備考欄には「一等三角点雷神峠測點…子午線標」と書かれています。以上の事から記事タイトルを「西山峠方位標」より「明神岳(方位標)」へと変更します。同様に「雷神峠方位標」も「雷神峠(方位標)」に変更します。(2017/5/27追記)
[[岩手]明神岳(方位標)]の続きを読む
スポンサーサイト
2017/05/05(金)
岩手県花巻市東和町の雷神峠の北東500m付近ピーク上にある方位標(天測点として使用)。
※この記事は種市昇二郎氏のWebページ「青森県の山とはぐれ山男のページ」の記事を参考にしています。
※この記事は“雷神峠(一等三角点)”の続きです。

今日は岩手の花巻にある一等三角点“雷神峠”に「方位標」というものを見に来ました。

まず「方位標」についてですが、上西勝也氏「日本の測量史」の「国土地理院などによる測地観測」のページに簡単な説明があります。※引用の引用になってしまいますが…出所を表示してるから良いのかな?

方位標(Agimuth Maker)は任意の観測点において、ある方向の方位を一定に保持するため地上に設置された目標と定義されており天測点とされたこともあります。また多角測量で四等三角点と同等につかわたこともあります。ここでは天測点相当の方位標について説明します。[田島稔編:測量用語辞典 山海堂 1997 p298]

何と、天測点は巨大なコンクリート塊で出来た天測台だけでは無かった!。天文測量のために天測台が設置される以前は方位標が天測点とされていたのだそうです。
種市氏のページによれば、それが福島県の“鳥屋山”、岩手県の“雷神峠”“高堂山”、千葉県の“高神村”にあるらしいので、今日は比較的行きやすそうな、ここに来たということです。

ちなみに方位標といえば以前竹駒神社でも見ましたが、これは引用文の「多角測量で四等三角点と同等」に該当するもので、今回のとは違う使い方のようですね。

以前、舘沢省吾氏から聞いた話ですけど、名取にある一等“大森山”にも現在地へ移転する前はすぐ近くにこの「方位標」があったらしいです。もう少し早くこの趣味を始めていれば見られたかもしれないなぁ。

raijintouge_h1.jpg
種市氏の別のページによると、“雷神峠”の方位標は三角点の西南西にあるらしい。そっちの方へ進んでみると…おおっ!これか!!
すっかり埋もれてしまい、忘れ去られた存在となってしまった可哀想な方位標。今、助け出してやるからな!

raijintouge_h.jpg
これが方位標か!!初めて見たよ、嬉しい!
見た目と大きさは四等三角点そのもの(一辺12cmの四寸角)。一等標石の文字がマジックか何かで塗られていたようなので(読みやすくするため)、私も真似をして方位標の文字を持参のマジック(というかマッキーです)でなぞってみました。確かに読みやすい!

raijintouge_h2.jpg
三角点から見るとこんな感じ。

raijintouge_h3.jpg
二つの標石の位置関係はこんな感じ。

raijintouge_h4.jpg
三角点から4m70cm
※種市氏の記事には7mと書かれていましたが、恐らく70cmのところを間違えて7mと記載したのではないかと思われます。

raijintouge_h5.jpg
南面「方位標」

raijintouge_h6.jpg
東面「基本」

raijintouge_h7.jpg
北面「No. 17」

raijintouge_h8.jpg
西面「地理調」

raijintouge_h9.jpg
上面です。

raijintouge_h10.jpg
一等標石と方位標は広場の北端(北東端?)に設置してあったため、仮に天測点に対する子午線標に相当するものが存在した場合、真北にあるものだと思っていたのですが、自宅に戻ってから舘沢氏にこの件について伺ったところ、雷神峠の子午線標に相当するもう一つの方位標は真南にあると教えて頂きました。
画像はその真南の方角です。念のため南側も撮っておいて良かった…。

って、えっ!?もう一つあるの??

ちなみにその子午線標に該当する方位標は真南約7kmにある三等三角点“西山峠”(明神岳)の近くにあるんだそうで…。また北上へ行かなくちゃ!

次回に続く。(たぶん)


この方位標の点の記には、点名「雷神峠」、冠字選点番号「佼17」、選点・造標・観測日が昭和26年11月8日、備考欄には「案内人、更木村臥牛 中村重次郎  子午線標…明神岳  方位点…束稲山一等三角点」と書かれています。(舘沢省吾氏提供)
一等「束稲山」は平泉前沢ICの東6kmにありますね。雷神峠からは南36kmです。(2017/5/27追記)
[[岩手]雷神峠(方位標)]の続きを読む
2017/04/15(土)
茨城県日立市の奥日立きららの里敷地内にある子午線標。
※この記事は種市昇二郎氏のWebページ「青森県の山とはぐれ山男のページ」の記事、およびヤマレコのkilkenny氏の記事を参考にしています。
※この記事は「高鈴山天測点」の続きです。

次は高鈴山天測点と対になる子午線標を探しに行く。
種市氏の記事によると、高鈴山の子午線標は奥日立きららの里の南西にある木ノ根坂集落付近より登り、笹藪をかき分けるとあるようなことが書かれている。ちょっと大変そうだが、座標を公開して頂いてるので何とかなるだろう。
ところがヤマレコに投稿されているkilkenny氏の記事を見たところ、奥日立きららの里内より行けるということが分かった。最近子午線標の存在を「きららの里」関係者が知ったせいなのか、子午線標までの道が出来ているらしいのだ。これが本当ならとても楽に行くことが出来る。一時的なもので無いと良いんだけど…。

ちなみに奥日立きららの里とは日立市営のレジャー施設で、宿泊施設やオートキャンプ場、“日本一長い”すべり台などがあるらしい。先ほど「もとやま自然の村キャンプ場」が閉鎖されたのも、きららの里が代替施設としてあったからだろう。

高鈴山より旧あかさわ山荘前の駐車場に戻って昼食を取った後、子午線標があるという「奥日立きららの里」へ向かう。

takasuzuyama_s1.jpg
旧あかさわ山荘前より、茨城県道36を北西方面へ進む。本山トンネルを抜けてから500mほど進むと奥日立きららの里の入口があるので右折する。【現在地

takasuzuyama_s2.jpg
右折すると入口にゲートがある。【現在地
実は奥日立きららの里へ入るのには入場料が必要になる。kilkenny氏が入場した時はイベントのため無料だったようだが今日はこれといったイベントなど無く、通常料金の320円を支払う。320円で楽に子午線標へ到達出来るのなら安い…かな?

takasuzuyama_s3.jpg
ゲートより道なりに800mくらい進むと、施設内を一周する一方通行の道に出る。【現在地
この画像の右側に広い駐車場がある。子午線標から最も近い駐車場なんだけど、せっかく320円を払っているんだから(?)ここへ駐めずに子午線標のそばまで車で行くことにした。

takasuzuyama_s4.jpg
あれ?なんか前方の丘が変だぞ?【現在地

takasuzuyama_s5.jpg
ははっ、何じゃこりゃ(笑)。ヤマレコで見た画像よりも、さらに分かりやすくなってやんの(笑)【現在地
気になる人もいると思うので一応書きますけど、右下に写ってる標石みたいなのは何かのカバーみたいです。

takasuzuyama_s6.jpg
有刺鉄線柵もここだけちゃんと撤去されている。どう考えても子午線標へ行くためなんだけど、案内の看板は無いし、パンフにも書かれていない。かなり本気なんだけどな。

takasuzuyama_s7.jpg
無駄に広すぎる道(笑)
笹の根元が少し残っているので、靴裏に当たってちょっと歩きづらいかな。

takasuzuyama_s8.jpg
ありました。
伐採してくれた方に感謝。

takasuzuyama_s.jpg
子午線標です。
おなじみ「SHC別府」のプレートもあります。ご苦労様です。
大きさは 30x30x120cm くらい。

takasuzuyama_s10.jpg
上面です。
ピンの直径約13mm、ピン間200mm、指標円の直径約24mm、指標十字マークの大きさ約12mm

takasuzuyama_s11.jpg
銘板です。
こっちも何号なのか読めず。刻印すらされてないみたい。
大きさは天測台のと同じく 縦20cm、横9cm くらい。

舘沢省吾氏より、子午線標の原本に「第二八号」と記載されていると教えて頂きました。天測点も同じ「第二八号」のようです。
ありがとうございました。(2017/5/6追記)

takasuzuyama_s9b.jpg
子午線標の南(高鈴山方面)は、ご覧の通り笹藪で何も見えず。

takasuzuyama_s12.jpg
笹藪が無ければこんな感じに見えるはず。雨量レーダーの塔が無いと左のピークが山頂かなと思ってしまいそう。

この後、本山トンネルそばの日鉱記念館を見学し、日立駅近くで名物(?)の「モーター最中」をお土産に買って帰りました。
[[茨城]高鈴山子午線標]の続きを読む